ある理容店のエピソードから「感情的な思い込みは、間違った解釈を導く」

床屋さん

こうだと思っていたのに、真実はまったく違った―。

そんな思い込みによる失敗は犯したくないものです。

思い込みや決め付けは、ときに事実に反する誤った解釈を導きます。

感情と結び付いた思い込みは、強ければ強いほど軌道修正するのが困難です。

思い込みは物事を一面的にとらえるために生じます。

多面的に見ることさえできれば、思い込みは引っ込むでしょう。

ヘアーサロン

引っ越してきて、まだ2回しか利用したことのないヘアーサロンに予約の電話を入れたときのことです。

やや雑な電話対応を受けた私は、少しムッとしました。

そして別の理髪店に予約を入れます。

にもかかわらず、最初のヘアーサロンを利用することにしました。

これは正解でした。

利用しなければ、あやうくヘアーサロン側の厚意をムダにするところでした。

本サイトの記事は、思い込みや先入観に対して警鐘を鳴らすものです。

あなたが少しでも、思い込みや先入観を警戒するようになってくれれば幸いです。

1.ヘアーサロンとの出会い

引っ越したため、新しい地で理容店を探す必要がありました。

駅に併設された1000円カットのお店は、最初から対象外です。

私の場合、剛毛でボリュームが多いので、気に入った髪型に仕上げてもらうには時間がかかります。

たかだか15分程度では、十分に仕上がらないでしょう。

そこで活用したのがネットです。

混んでいるのはイヤなので、予約ができる理容店を検索します。

ようやく見つけたのが、ブログで情報発信をしている感じの良いヘアーサロンでした。

3人のスタッフが顔写真とコメント付きで紹介されており、親近感が湧きます。

意を決して最初の予約を入れたのが、4月下旬のこと。

スマホに保存していたカット直後の画像を見せ、「この通りに切ってほしい」と頼むと、マスターは時間をかけて丁寧に髪を切ってくれました。

所要時間は約1時間20分。

長い方です。

料金は2900円と私にとっては割安でした。

想定していた以上に理想の髪型に仕上げてくれたので、チップ代込みの3000円を支払いました。

こうして店を出て、歩いて5分ほどの場所にある銀行提携の有料駐車場に戻ると、30分無料だったのですが、超過分として800円を取られました。

想定外の駐車代を払うくらいなら、マスターに駐車代分のチップをはずむべきでした。

「チッ」と舌打ちをした次第です。

 

2回目のカットではチップをはずむ

二回目の予約は6月下旬です。

マスターが「ぼくはちょくちょくお菓子をつまんで食べるんですよね」と話していたので、イトーヨーカ堂で売られていた銘菓「五勝手屋羊羹(ごかってやようかん)」を差し入れとして持っていくことにしました。

もちろん前回丁寧に散髪してくれたお礼の意を込めてです。

二回目のカットは約一時間で終了。

金持ち本をたくさん読んだ私は、ある億万長者の教えを実践するようにしています。

それは「人の手によるサービスは値切らず、むしろねぎらって高い対価を払え」というものです。

カット代2900円の請求に対し、チップ代をはずんで千円札を4枚差し出しました。

マスターが「エッ!いや、こんなに受け取れませんよ」と恐縮するのですが、押し返します。

そしてカバンから羊羹の「お土産」を取り出してカウンターに置きます。

「差し入れですので召し上がってください」と言いながら。

私の気持ちは不思議な「優越感」で満たされます。

「受けるより与える方が幸いである」との言葉が思い起こされました。

 

3回目の予約時は様子が変?

こうして8月上旬、3回目の予約を入れることになりました。

スマホを片手に電話番号を押すと、呼び出し音が鳴ります。

2回、3回、4回…。

出ません。

6回、7回と続き、もう切ろうと思ったところでマスターの奥様の声が聞こえてきました。

スタッフの一人です。

すぐに電話に出られないくらい混んでいたのでしょう。

店内がざわついています。

予約の件を告げると、なぜか奥様は「ちょ、ちょっとお待ちください」と言って受話器から離れます。

再び待たされます。

40、50秒待たされた感覚でした。

たらい回しにされたようで不快です。

予約を入れたら、どのスタッフでもすぐに対応できるようにすべきです。

ようやく出たマスターは「モタヨシさん、本日の予約ですか…。失礼ですがモタヨシさん、下の名前を教えてもらえますか」と冷たく聞いてくるではありませんか。

前回羊羹を渡したのに忘れられたのかと思い、ショックでした。

名前を聞くということは、例えば常連客の田中五郎さんと、2回しか来ていない田中一郎さんで、予約対応に差を付けるという意味かもしれません。

そう思うと、少しムッとしました。

私は「16時過ぎに予約を取りたいのですが、今日は何か忙しそうですね。何かイベントでもあるのですか」と表面的にはイラ立ちを隠しながらも尋ねました。

マスターは「実は連休明けでバタバタしてるんですよ。でも16時ならボクは空いているかなぁ…」と歯切れが悪そうに答えます。

どうやら東京にいる義理の両親の実家へ帰省し、平日4日間を臨時休業にしたようです。

そこで私は「忙しいようですし、特に急ぎでもないので、また後日にします」と告げて電話を切りました。

一種の断り文句です。

本当は今日中にカットしてもらいたいと考えていました。

そこでネットで別の理髪店を探し、電話をかけて当日の17時に予約を入れました。

他店に「浮気」をすることになりますが、「仕方がない」と自分に言い聞かせます。

一度「浮気」をすれば、私の場合、本命に戻りづらくなるので、今後数ヵ月間はいろいろな理容店を回ってみることになります。

ヘアーサロンとは距離を置くことになるでしょうが、やむを得ません。

 

ところが40分ほど経ってから、ヘアーサロンから着信がありました。

マスターです。「モタヨシさん、先ほどは失礼しました。16時でも大丈夫です。

どうなさいますか」と聞いてきます。

すでに理髪店に予約済みだったので、少し意地悪く「あいにく別の店に予約を入れました。結構です」と断ることもできました。

けれども、わざわざ電話をかけ直してくれたマスターの熱意にふれ、断るのも酷です。

思いやりがありません。

そこで「17時にお願いします」と告げました。

予約を入れていた理髪店には、丁重にキャンセルをお願いした次第です。

床屋

ヘアーサロンでは、私の髪にハサミを入れながら、マスターが最初の電話のときの対応を詫びます。

私も腹いせに「実は別の理髪店に予約を取っていたんですよ」と伝えるつもりでした。

結局口には出しませんでしたが、正解でした。

マスターは意外なことを打ち明けます。

「前回、モタヨシさんから羊羹をいただきましたよね。

今回の連休では東京に行ってきたので、お返しにとチョコレートのお菓子をモタヨシさんのために買ったんです。

土産は東京から宅配で送ったのですが、モタヨシさんから電話をいただいたときは、まだ届いていませんでした。

それでモタヨシさんから予約を受けるのをためらったんです。

後日来店してもらえるなら、そのときに渡せると考えました。

ところが電話を切ってから間もなく、宅配の荷物が届いたんですよ。

そこで急きょ、モタヨシさんに電話を入れました」。

一瞬にして私の中の疑問が氷解しました。

スティーブン・R・コヴィー流に言えば、パラダイム転換が起こりました。

Q.最初の予約のとき、マスターはなぜ私の下の名前を聞いたのでしょうか。

A.羊羹を持ってきたモタヨシ本人かどうかを冷静に確かめるためです。

Q.どうして、予約を渋るような雰囲気だったのでしょうか。

 ● 忙しいときに常連客の予約を優先させるため? 

 ● 忙しいときに利用歴の少ない客を断るため?

いずれも違います。

A.まだお土産が届いていなかったため。

お土産が届いてから髪を切りに来てほしいと願ったからです。

ふと気が付くと、私のこわばったような表情が鏡に映し出されています。

わざわざ理容店が客のためにお土産を買うなどという話は聞いたことがありません。

しかも私は常連客でもないのです。

もう少しで取り返しのつかないことになっていました。

私としては別の理髪店に行ったら、しばらくこのヘアーサロンには顔を出さないつもりでした。

マスターは、せっかく買った土産なのに渡す機会を半永久的に失ったに違いありません。

私も店側の厚意に気付かぬまま、予約時のやや不快な対応だけを記憶にとどめたはずです。

マスターの話を聞きながら、マスターに余計な気遣いをさせてしまったことを心苦しく感じました。

そんな思いが、表情に表れていました。

今後しばらく私は、他の理容店に目移りすることはないでしょう。

 

コヴィー博士が説くパラダイムとは

ロングセラーになった『7つの習慣』(キング・ベアー出版)には、コヴィー博士のパラダイムに関する記述があります。

人は、物事をあるがままに、つまり客観的に見ていると思いこんでいるのが常である。

しかし、私たちは世界をあるがままに見ているのではなく、私たちのあるがままに(条件付けされたままに)世界を見ているのだ。

物事を説明しようとすると、それは結果的に自分自身、自分の知覚、自分のパラダイムを説明しているに過ぎない。

スティーブン・R・コヴィー著『7つの習慣』より

思い込みや決め付けは恐ろしいものです。

物事をあるがままに見ているつもりでも、自分の経験というある意味で偏ったレンズを通してしか見ることができないからです。

 

2.まとめ

自分の経験からこうだと思い込んでいたのに、意外にも真実はまったく異なっていたというエピソードを紹介しました。

私たちは、思い込みや決め付けから逃れられない生き物なのかもしれません。

思い込みや決め付けは、ときに事実に反する間違った解釈を導きます。

特に不快な感情と結び付いた思い込みは、修正するのが困難です。

思い込みは物事を一面的にとらえるために生じます。

パラダイム転換を図るには、物事を多面的に見るしかありません。

多面的な見方ができれば、思い込みや決め付けはしっぽを巻いて退散していくはずです。

※マスターからいただいたお土産。チョコレート菓子「東京ロマンの街」。

お土産東京ロマンの街
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ABOUTこの記事をかいた人

学生時代は(そして今も?)典型的なモラトリアム人間だった。成功した金持ちになりたくて、20代のときに自己啓発教材を買い漁る。心理学系の本や自己啓発系の本を読むのが好き。お金も好きなため、高額納税者で有名な斉藤一人氏の教えを実践する。Amazon、楽天などの通販をよく利用する。長年カフェイン中毒という強烈な依存症に侵されていたが、2018年5月離脱に成功した。