人に好かれる話し方をする人を注意深く見ていると、リアクション(反応)が大きいことに気付きます。
「私はリアクションが下手だ」とか「どういうリアクションをしたらよいか分からない」という人は、大げさなリアクションがわざとらしく見えることを恐れているかもしれません。
でもご安心ください。
他人には、私たちが思うほどリアクションが大きく見えないものです。
本サイトの記事では、コミュニケーションに私たちのリアクションが欠かせないことをお伝えします。
リアクションが上手になれば、私たちは年配者からも小学生からも喜ばれる話し相手になることができるでしょう。
1.リアクションには感情移入が前提
私たちは、無反応な人としゃべっていても楽しくはありません。
相手からのリアクションが返ってくるからこそ、しゃべりがいがあるというものです。
逆に私たちが、話しかけてくる相手に対して無表情のままだったとしたらどうでしょう。
相手は、話す意欲が削がれるに違いありません。
リアクションは、コミュニケーションを円滑にしようと思うなら欠かせないものです。
ではどのようなリアクションを示せばよいのでしょうか。
一概に、オーバーリアクションが正解というわけではありません。相手の感情に合わせることが大切です。
相手がうれしそうにしていれば、こちらもうれしそうに振る舞うのです。相手が悲しそうにしてれば、こちらも悲しそうに受け止めます。
相手に感情移入して、一緒に喜び、一緒に泣く姿勢が大切です。
リアクションに小手先のテクニックは要りません。
初期キリスト教伝道者で、新約聖書の著書の一人であるユダヤ人パウロは、ローマにいる信徒への手紙でつぎのように書いています。「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい」。
「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣く」ことは、間違いなく人として正しいことです。
私たちが喜んでいるときに、相手が眉間(みけん)にしわを寄せて残念そうな表情をしていたらどうでしょうか。また、悲しんでいるときに、相手がニコニコと笑顔を見せていたら、どうでしょう。
私たちは腹を立てることでしょう。
高校時代のエピソード
私が高校3年生のときですが、陸上競技でインターハイに出場した同級生が、見事、推薦入試で筑波大学に合格しました。
登下校の際は、片道で徒歩1時間以上かかる道のりを、雨の日であっても濡れながら、リュックを背負って走るくらいガッツのある男でした。
学業にも手を抜かず、真面目に努力を積み重ねるタイプだったので、合格の報を聞いたとき、素直に「おめでとう」と称えたのですが、そうでない人もいました。
「あいつはズルい」という陰口が聞こえてきたのです。
耳を疑うと同時に、的外れなひがみや妬みがとても醜いものに感じられました。
私たちは意外と、他人の幸せや喜びを素直に喜ぶことができない欠点を持っています。
逆に「他人の不幸は蜜の味」という言葉があるように、他人の不幸を見てほくそ笑むことさえあります。
リアクションを示すときは、こうした私たちの欠点に留意する必要があるでしょう。
「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣く」気持ちがあれば、リアクションは自然と生まれます。
「チェ、妬ましいな」と舌打ちしたくなる気持ちがあれば、相手の喜びに共感することはできません。
コミュニケーションで効果的なリアクションを示すには、相手に深く感情移入することが前提となります。
2.リアクションの具体的な方法
喜怒哀楽がはっきりせずあいまいなままでいるよりは、喜怒哀楽の感情をはっきり示した方が効果的です。
相手が得意げに自慢話を始めたら、「そぉーなんですか!」と身を乗り出すようにして聴きます。
体を前に傾けるくらいがちょうどよいでしょう。姿勢も表情と同じくらい大事です。
相手がうれしそうに話を始めたら「良かったですねぇー!」と自分もうれしそうな声で反応します。
相手が本当にスゴイと感じたら一言「スゴイですね!」と大声で言うよりは、逆に押し殺したような低い声で「スゴイですねぇー」と感心して言う方が、実感が伴うでしょう。
女子アナの稲葉寿美さんが出版した本『気づいたら「いつも選ばれる人」の会話ルール55』(すばる舎)には、女性向けにアドバイスが載っていますが、リアクションについてもふれられているのでご紹介します。
ルール26
愛される聞き方のコツ、それはずばり「反応」です
話し上手は聞き上手、聞くということは、まず「反応」することです。
たとえ、すぐ言葉が出てこないにしても、驚いた表情や納得のうなずきがあれば、相手は安心して多くを語ってくれます。好感度のある人、モテル人の最大の条件はリアクション上手です。
男性のちょっとした話に「え、すごい!」と目を丸くして驚いたり、「ほんとですか~?」と笑いながら上体を反らす。さらには「それでそれで?」と身を乗り出して話の続きを催促する。
お土産を買ってきてくれた男性社員への言葉として、「ありがとう!」は当然。
「このお菓子気になってた」「こんなの見たことない」など、すぐに感想もつけてリアクションをしてあげてください。言葉がすぐに出てこない人は、行動に移してもいいかもしれません。とにかくリアクションは早ければ早いほどよしです。
父親の友人の話
姪っ子が小学1年生になったとき、父親の友人である60歳過ぎのおじさんが姪っ子にしゃべりかけました。
立ったままの姪っ子は、テーブルの上にあるおもちゃに夢中で、おじさんの問いかけには答えません。完全に無視しました。
大人を無視するとはいい度胸です。
ただおじさんも過ちを犯しました。独り言をつぶやくかのように、姪っ子に話しかけていたからです。
「この珍しいおもちゃは何ていうおもちゃなんだろうな」。
これでは小さな子どもは反応してくれません。
尋ねたいことがあれば、心から「知りたそうに」聴く必要があります。
例えば「ねえねえ〇〇ちゃん、ちょっ~とおじさんに教えて! このとぉ~ても珍しいおもちゃは何ていうおもちゃのかなぁ? 」など。
声に強弱をつけるということです。これもリアクションの大事なポイントになります。
喜怒哀楽の表情をはっきりさせ、声には強弱をつけ、ときには身を乗り出したり反らせたりすることが、効果的なリアクションを示す方法です。
3.まとめ
コミュニケーションにリアクションは必要不可欠です。
大げさでわざとらしくなることを心配する向きもありますが、心配は要りません。
心が伴わない形だけのオーバーリアクションなら、確かに大げさでわざとらしく映るでしょうが、「共に喜び、共に泣く」気持ちがあれば、大丈夫です。
相手が喜んでいるときに、私たちはそれ以上の喜びを示しましょう。
そうすれば、相手はあなたをことを「心の友」と思ってくれるはずです。
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