コミュニケーションを図ろうとするなら、好意的なアイコンタクトは必須です。
「目は口ほどに物を言う」「目は心の窓」などのことわざがあるように、私たちは目の動きで喜怒哀楽を読み取ります。
逆にアイコンタクトがなくなれば、相手の感情を読み取ることは非常に難しくなります。
私たちが嫌いな人とのコミュニケーションを断ち切ろうと思うなら、意図的にアイコンタクトをやめるのが一番です。
嫌いな相手に拭いがたい不信感を植え付けることに成功するでしょう。
ですが、これはお勧めしません。人間関係を壊すからです。
本サイトの記事では、アイコンタクトがコミュニケーションを図る上で欠かせないことをお伝えします。
アイコンタクトの大切さを理解できれば、意識的にアイコンタクトを行い、相手からの大きな信頼を勝ち取ることができるでしょう。
アイコンタクトは、良好な人間関係を築く上でなくてはならないものです。
1.アイコンタクトはないと不自然
良好なコミュニケーションを図ろうとするなら、アイコンタクトは欠かせません。
アイコンタクトがないコミュニケーションは、魂の抜けた会話です。
心と心がふれ合いません。
どんなに言葉を尽くしても無駄です。
相手に真心を伝えることができません。
アイコンタクトがないコミュニケーションは、ときに相手に不信感を与えます。
もどかしさを感じさせます。
心が読み取られないよう、「心の窓」を隠していることになるからです。
一方でアイコンタクトは、相手に愛情を伝える強力な武器にもなります。
たった一瞬であっても、好意的なアイコンタクトは、驚くほどたくさんの情報を伝達するからです。
例えばあなた様が男性なら、若くてかわいい女性に上目遣いで見つめられただけで、気分が舞い上がることでしょう。
見つめられただけで「この娘(こ)は、自分に気があるのかな」と勘違いしがちです。
起承転結の例文には、「諸国大名は刀で殺す、糸屋の娘は目で殺す」という表現もあります。
視線で男性のハートを射抜くということでしょう。
アイコンタクトの作用
中央学院大現代教養学部教授(2018年4月現在)の中島純一氏が書いた『コミュニケーションと日常社会の心理』(金子書房、2007年刊)に、アイコンタクト(視線交差)に関する説明箇所があります。
「よく目を合わせる人ほど親和欲求(相手と仲良くなりたいとする欲求)が高い」と紹介しています。
アイコンタクトには、二者間で相互に目が合う時間に応じて、一瞥(いちべつ)、目が合う、凝視の各段階がある。さらに受けてからのアクティブな反応や関与を期待したり、確認作業としての交差、上下関係の人間関係における凝視など、両者の空間行動としてのシチュエーション、親密度の度合い、性差による相違など、さまざまな社会的相互作用の一つの方法と考えられる。これらの自己表出の操作形態を、視線という行動レベルから分析しようとする試みが、視線交差の研究領域である。
一般によく眼を合わせる人ほど親和欲求(相手と仲良くなりたいとする欲求)が高いとされ、特に男女間での一瞥や目が合う行為は、見つめられた側がアイコンタクトを送った側から好意を持たれていると判断されやすい(A・メラービアン)。
言語学博士のウィリアム・A・ヴァンス氏は、著書『人を動かす英語 イェール大学で学べるコミュニケーションの極意』(PHP新書、2011年刊)の中で、 アイコンタクトの少なさは「不安、不誠実さ、怒り、無関心さ、自信のなさの指標となる」と指摘しています。
また、健常者は会話時間の60%でアイコンタクトを行うのに対し、統合失調症患者がアイコンタクトを行うのは会話時間の20%であったという『米国精神医学ジャーナル』の研究成果を示しています。
そのため「特に英語でコミュニケーションする際に、 会話時間の半分以下の長さしかアイコンタクトをしなかったり、顔の表情の変化に乏しかったりすると、ネイティブスピーカーはあなたに対して、実際とは異なるネガティブな性格、精神状態の印象を無意識に形成してしまう危険性がある」として注意を呼びかけています。
- 精神的健常者は、会話時間の60%でアイコンタクトを行っていて、その継続時間は、平均約3秒間であった。相手の目を約3秒間見た後は、いったん他の場所へ目をそらしてから、再び約3秒間相手の目を見るという行動が見られた。
- 統合失調症患者が、相手の目を見つめていたのは、会話時間の20%でしかなかった。それに加えて、正常な人と眉の動きやスマイルを含めた表情を比較すると、その動きは50%も少なかった。
あなた様がアイコンタクトを取らないなら、相手にネガティブな印象を与えます。
「 不安、不誠実さ、怒り、無関心さ、自信のなさ」を印象付けてしまうので注意が必要です。
不適切なアイコンタクト
コミュニケーションを通じて親密さを増そうとするなら、アイコンタクトを行うことが必要不可欠です。
アイコンタクトに似て非なる「アイコンタクトもどき」もありますが、これは違和感を与えるのでやめましょう。
私が新潟県に住んでいたとき、ある学習塾の背の高い女性事務員は、私の頭の上の方を見て話していました。
視線を合わせないのです。常にそうでした。
また、ホテルで夜勤アルバイトをしていたとき、年下の背の低い女性スタッフは、私の斜め上を見て話していました。
なぜ相手の目が上向きなのか、当時はとても疑問に感じたものです。
目を合わさなくても、一応、私の方には顔を向けています。
ですから「アイコンタクトもどき」と名付けました。
視線をそらすことを日本人らしい奥ゆかしさと捉える向きもあるかもしれませんが、個人的には「アイコンタクトもどき」に対して違和感しか覚えません。
アイコンタクトゼロの女性
業界紙の記者として働いていた当時、自閉的だった女性事務員は、結局、3年間ずっと下を向いていました。
視線を合わせることが全くありません。
アイコンタクトはゼロでした。
普通、3年間も同じ事務所で働いていれば、ある程度親しくなれるはずです。
ところが、そうはなりませんでした。
アイコンタクトをとらないことについて尋ねたことがあります。
事務員は「支局長(=私)が悪い。胸に手を当ててみろ」と言います。
彼女は、私のことを得体の知れない人間として恐れているようでした。
また、どこかで嫌悪感を抱いているようでもありました。
理由は不明です。
思い当たるとしたら、別の事務員と電話でホワイトデーのお返しの件で話していたときのことです。
電話で話していたその事務員とは、当時大変馬が合い、親密な関係でした。
私の話す声が、猫なで声のような甘ったるいものだった可能性があります。
自閉的だった事務員の方は、横で私の会話を聞いていました。
話を戻しますが、自閉的だった事務員が私に告げた言葉で終生忘れられないのは、「声が気持ち悪い」でした。
生まれ持った声を「気持ち悪い」と言われても、どうしようもありません。
真正面から向き合って会話ができない理由として、自閉的だった事務員は「声が気持ち悪い」を挙げました。
「声が気持ち悪い」から、目を合わせられないというのは、言いがかりでしょう。
でも、ホワイトデーのお返しのついて、仲の良い事務員と猫なで声で話していたとしたら、少しは理解できます。
「男のくせに、仲良く猫なで声で話しやがって気持ち悪い」と思われた可能性はあります。
ホワイトデーの件というのは、ネットショップで注文したホワイトデーの品が仲の良かった事務員の自宅に送られるはずだったのに、ショップの手違いで私の自宅に届いたというものです。
仲の良い事務員には、後日、ショップからホワイトデーの商品が届くことを伝えました。
手違いで自宅に届いたホワイトデーの商品は、せっかくの高いお菓子だったので、自閉的だった事務員に「食べてちょうだい」と言って渡しました。
このあたりから関係がこじれた気がしますが……。
話がそれました。
自閉的だった事務員は、感情的になったとき「私は精一杯コミュニケーションをとってきた」と言い張りました。
病院では、双極性障害と診断されていたと言うので、もしかしたらうつ状態のときは、無理して会話を合わせてくれていたのかもしれません。
けれどもアイコンタクトを取らないなら、どんなに言葉を尽くしても、コミュニケーションが深まることはありません。
いまでも、自閉的だった事務員の目を合わさないコミュニケーションを思い出すと、こちらが一生懸命にアイコンタクトを取ろうとしていただけに、腹立たしい気持ちが湧いてきます。
2.まとめ
親密な人間関係を築こうとするなら、コミュニケーションにおいて好意的なアイコンタクトが欠かせません。
自閉的だった事務員のように、アイコンタクトゼロで会話をしようとすることなど論外です。
相手に不誠実な印象しか与えないでしょう。
試しに相手の目を見ないでしゃべってみたら、いかにコミュニケーションが浅いものとなるかご理解いただけるはずです。
一方、仮に言葉に詰まったとしても、アイコンタクトだけで意思を伝えることができます。
目は口ほどに物を言います。
あなた様が女性なら、男性を悩殺することもできるでしょう。
好意的なアイコンタクトは、相手とのコミュニケーションを豊かなものにする人生のスパイスです。
逆に敵意を向けたいなら、アイコンタクトを取るのを意図的にやめてみれば十分です。
アイコンタクトを取らないことが、いかに効果的か体感できるはずです。
ただし、人間関係を修復できないほどに壊すので、まったくお勧めはできません。
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