会社経営をするトップやチームを率いるリーダーなど、あなたが管理職を務めているなら「あの部下が悪い」「この従業員が問題だ」などと口走ってはいけません。
「あなたが悪い」「お前のここが問題だ」などと当の本人に伝えたところで、事態は改善するどころか悪化の一途をたどるでしょう。
ならばと「問題児」を取り除こうとするかもしれませんが、取り除けば組織やチームの戦力がダウンするだけです。
組織の「ガン細胞」を取り除こうとするのではなく「どうしたら改善できるか」を考える必要があります。
本サイトの記事では、「だれが問題か」ではなく「どうしたら改善できるか」という視点を持つ必要性についてお伝えします。
あなたは扱いづらい人材がいても、建設的に生かす方法を見つけられるようになるでしょう。
1.「だれが問題か」を詮索するのは非建設的
人の上に立つ人間であれば、組織の業績が良くないときに「だれが問題か」と詮索したくなるものです。
けれども「だれが問題か」と犯人捜しをしてはなりません。
例えば、部下の営業成績が良くないからと糾弾するのは、何の改善にもつながらないでしょう。
仮に管理職であるあなたが部下を責め立てるなら、部下は委縮してますます業績を落とします。
人は自分が期待されていないと感じ取ると、力を発揮できないからです。
ピグマリオン効果という心理学用語があります。
人は他者から高い期待をされるとその期待に見合った成果を挙げるという現象です。
逆に人は期待されないと、パフォーマンスが落ちます。
この現象をゴーレム効果と言います。
上に立つ者が目下の者に向かって「あなたが悪い」「お前のここが問題だ」などと指摘し続けるなら、部下は意気消沈して間違いなくゴーレム効果が発生します。
また委縮するあまり、本来持っている潜在能力すらも十分に発揮できなくなります。
大事なことは「どうしたら改善できるか」を自問するとともに、部下にも「どうしたら改善できるか」と問いかけることです。
「どうしたら改善できるか」を問うべき
一般社団法人日本CL学会代表理事の杉井保之氏のブログ「杉井のひとこと」が社長ブログランキング第三位だったので、読んでみました。
ちなみに日本CL学会の「CL」とは「Constructive Living(=建設的な生き方)」の略です。
米国人文化人類学者D・K・レイノルズ博士が、森田療法と内観療法を取り入れて創案した教育法になります。
ちなみに杉井氏が経営するオリジン・コーポレーションは、不登校の生徒や非行少年しか雇えなかったのに人材教育に力を入れ、約20年にわたり増収増益を続けているそうです。
会社は「問題児」の寄せ集めといったら言い過ぎでしょうか。
それでも杉井氏が、問題点ではなく可能性に目を向けたからこそ、増収増益につながったのだと思います。
さて、ブログに「成功する人しない人」(2017年8月5日付)という記事がありました。
杉井氏は多くの経営者が会社を良くしたいと思いながらも「この社員のこういうところが良くない。問題だ」と問題点だけを見ていると指摘しています。
さらに「その問題点を取り除かなければ良くならない」と考え、最終的には「問題点が取り除けないなら、その人を取り除くしかない!」との結論を下すと指摘しています。
杉井氏は分かりやすくサッカーのたとえを持ち出します。
例えばサッカーの試合で味方の選手がミスしたとき、ほかの選手や監督がミスした選手を責め、しまいに「お前なんか要らない」と言ってミスした選手を除外するようなものだとか。
こうなるとチームは、一人欠けた不利な状況で戦う羽目になります。
さらに別の選手がミスすると、その選手も退場させます。
徐々にプレーをする選手の数が減っていきます。
人を切れば切るほど、組織力が落ちていくのは言うまでもありません。
これはサッカーだけに限らず、すべての組織に当てはまるたとえです。
ダメな社員をリストラさえすれば、会社の業績が改善すると考えるのは短絡的すぎます。
大事なポイントは「問題児」を外すことではなく、成果を挙げるためにどうしたらよいかを考えることです。
人を責め立てダメ出しを繰り返しているだけなら、ゴーレム効果によって問題は悪くなる一方です。
どうしたら改善できるかを考えることが大切になります。
最後に杉井氏は、まとめの一言を記します。
何が良くないかがわかっても、人生は良くなりません!
あるものを上手に生かす。
2.まとめ
例えば会社では、ダメ社員を取り除いたとしても、会社の業績が大きくアップすることはないでしょう。
逆に人材の多様性が失われ、組織力が低下する恐れすらあります。
大切なことは「今いる社員を上手に生かす」ことです。
問うべきは「だれが問題か」ではなく「どうしたら改善できるか」です。
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