コミュニケーション論|人に好かれる話し方のコツは聞き役に徹すること

聞き役

話しているとだんだん相手を不快にさせる人と、話しているとだんだん相手を気持ちよくしてあげられる人がいるとします。

あなたはどちらのタイプになりたいと思いますか。

しゃべればしゃべるほど相手の眉間にしわが寄ってくる人、または表情が曇ってくるような人になりたいですか。

それとも相手の表情が明るくニコニコしてくるような人になりたいですか。

言うまでもなく、相手を笑顔にしてあげられる後者のような人物になりたいと思うでしょう。

人に好かれる話し方の秘訣は、話すスキルよりもむしろ「聴く」スキルにあります。

良い聴き手になれば、だれもがあなたに好感を持つようになるでしょう。

もっと簡単な「人に好かれる話し方の秘訣」は、聞き役に徹することです。

相手の話を熱心に聴くだけで、あるいは興味深そうに聴くだけで相手は内心、小躍りして喜ぶことでしょう。

あなたはいつの間にか、好かれる対談相手になっているに違いありません。

本サイトの記事を読めば、聞き役に徹することのメリットが分かるはずです。

あなたは意識して聞き役に回ることによって、だれからも好意と好感をもたれる人物になります。

1.意識して聞き役に回る

一対一の会話のとき、うまく立ち回ろうとしてしゃしゃり出るなら失敗します。

日常会話のときも、商談中の会話のときも同様です。

もしも会話に勝ち負けのゲーム要素があるとしたら、聞き役に回った方が「勝ち」です。

これは私の体験からも間違いありません。

聞き役に回った方が、早く相手の信頼を勝ち取れます。

そして相手に好かれるようになります。

もちろん聴き方がおざなりであってはなりません。

熱心に聴く「フリ」であってもいけません。

心から相手に敬意を払って聴くなら、あなたは人に好かれる話し方の秘訣をもう十分会得したようなものです。

ほとんどしゃべっていないにもかかわらず、相手から「あなたの話は面白い」と言われたり、ほとんど商品説明をしていないにもかかわらず、お客から商品を購入していただけたりします。

カーネギーが説く「人に好かれる原則」

D・カーネギーは著書『人を動かす』(創元社)の中で、人に好かれる6原則を説いています。6原則を一つずつ挙げると、以下の通りです。

人に好かれる6原則

①誠実な関心を寄せる。

②笑顔を忘れない。

③名前を覚える。

④聞き手にまわる。

⑤関心のありかを見抜く。

⑥心からほめる。

4番目の原則に注目してください。

「聞き手にまわる」とあります。

カーネギーは人に好かれる原則として「聞き手にまわる」ことを挙げているのです。

本の中では、カーネギーの興味深い体験談が紹介されています。

例えばカーネギーは、ブリッジ(※トランプゲーム)の会で、アフリカを旅行したという女性と出会いました。

その女性はカーネギーのヨーロッパ旅行について話を聞かせてほしいと言ったにもかかわらず、カーネギーがたくみに聞き役に回ったので、自分の話を嬉々として続けることになります。

そのときの様子をカーネギーはつぎのように書いています。

彼女は、たっぷり四十五分間、アフリカの話を聞かせてくれた。

わたしの旅行談を聞かせてくれとは、二度といわなかった。

彼女が望んでいたのは、自分の話に耳をかたむけてくれ、自我を満足させてくれる熱心な聞き手だったのである。

『人を動かす』より

また、カーネギーは、ある晩餐会で有名な植物学者と出会い、何時間も話し込んだエピソードを紹介しています。

カーネギーとの対話に満足した植物学者は「世にも珍しい話し上手」とカーネギーを高く評価しました。

このときのカーネギーの言葉を紹介します。

話し上手とは、驚いた。

あの時、わたしは、ほとんど何もしゃべらなかったのである。

(中略)もっとも、しゃべる代わりに、聞くことだけは、たしかに一心になって聞いた。

心から面白いと思って聞いていた。

それが、相手にわかったのだ。したがって、相手は嬉しくなったのである。

こういう聞き方は、私たちがだれにでも与えることのできる最高の讃辞なのである。

(中略)実際は、わたしは単に良き聞き手として、彼に話す張り合いを感じさせたにすぎなかったのだが、彼には、わたしが話し上手と思われたのである。

『人を動かす』より

一方でカーネギーは、人に好かれる話し方とは真逆の話し方も伝授しています。

つまり人に嫌われる話し方です。

 

人に嫌われる話し方

一、相手の話を、決して長くは聞かない。

一、終始自分のことだけをしゃべる。

一、相手が話している間に、何か意見があれば、すぐに相手の話をさえぎる。


一、相手はこちらよりも頭の回転が鈍い。
そんな人間のくだらんおしゃべりをいつまでも聞いている必要はない。
話の途中で遠慮なく口をはさむ。

 

自分のことだけをしゃべり続け、相手の話の腰を折るような人物は、確実に嫌われます。

あるいは軽蔑されます。

カーネギーはまとめとして、つぎのように勧めます。

話し上手になりたければ、聞き上手になることだ。

興味を持たせるためには、まず、こちらが興味を持たねばならない。

相手が喜んで答えるような質問をすることだ。

相手自身のことや、得意にしていることを話させるように仕向けるのだ。

あなたの話し相手は、あなたのことに対して持つ興味の百倍もの興味を、自分自身のことに対して持っているのである。

中国で百万人の餓死する大飢饉が起こっても、当人にとっては、自分の歯痛のほうがはるかに重大な事件なのだ。

首に出来たおできのほうが、アフリカで地震が四十回起こったよりも大きな関心事なのである。

人と話をする時には、このことをよく考えていただきたい。

『人を動かす』より

セールスにも役立つ聞き方

加賀田セールス学校学長の加賀田晃氏は、契約率99%の偉業を誇る「営業の神様」と呼ばれています。

加賀田セールス学校

加賀田氏は「商品説明ゼロで売ったこと、何回もあります」(『加賀田式セールスの全て セールス六法《書き起こしマニュアル》』より)と言います。

それは、商談の場で即座に聞き役に回ったからでした。

名刺交換を終え、勧められたソファーに腰を下ろそうとする間際に、サッと口火を切ります。

例えば「あっ、ところで社長、大ッ変失礼ですが、あそこに掛かっておりますあの魚拓、まこ~とに失礼ですが、あれは何ちゅう魚でございますか」と相手に質問を投げかけます

こうして相手が自慢に思っているであろうことを質問し、聞き出して、しゃべらせるのが加賀田流です。

聞かれた方は、よくぞ聞いてくれたとばかりにしゃべり続け、すっかり気分が良くなります。

加賀田氏がするように過剰なくらいのリアクション付きで聞いてもらえると、相手は気分が舞い上がり、恍惚の境地に達するのでしょう。

ろくに商品説明を聞かないまま、加賀田氏の差し出す契約書に印鑑を押してしまうのだそうです。

私の体験談

前職時代、私はなぜか建設会社の社長から気に入られ、ほぼ毎月のように接待を受けました。

私が業者側なので、本来接待をしなくてはならないのは私の方なのですが、社長のご厚意で毎月ごちそうになりました。

生ウニが盛られているなど、活きのよい海鮮料理を堪能させていただき、ただただ恐縮するばかりでした。

海鮮料理ウニ

社長とは父と子ぐらい年が離れています。

社長は言います。

「若い人と話すことによって私が勉強になる。教えられることがたくさんある」と。

でも正直なところ、私は聞き役に回っただけでした。

ひたすら聞き役に徹したといっても過言ではありません。

分からない点については、素直に教えを乞いました。

自分から父親ほどの年齢の社長に、何かを教えたなどということはありません。

一心になって聴いたからこそ、社長もまた快く感じてくれたに違いありません。

カーネギーの言葉を思い出してください。

「こういう聞き方は、私たちがだれにでも与えることのできる最高の讃辞なのである」。

2.まとめ

人に好かれる話し方のコツは、話すよりも先に聞き役に回ることです。

聞き役に回り相手から話を引き出せたら「勝ち」です。

熱心な聞き手となって、相手が話したいであろうことを探りましょう。

うまく探り当てると、地下から湧き水がほとばしるように、相手は喜んで話してくれます。

湧き水

気づけば、あなたは相手から好かれる人物になっていることでしょう。

築かれた信頼関係は、ちょっとやそっとでは壊れません。

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