結婚当初、ラブラブであった夫婦も、次第に関係が冷めてくることがあります。
妻からすると、結婚したあとの夫は「釣った魚にエサをやらない」とばかりに、結婚前ほど自分を大切にしてくれないと思うでしょう。
一方、夫は出産後の妻が、自分よりも子どもを大事にするので、家庭における存在感が薄くなったように感じるかもしれません。
こうなると、お互いが「空気のような存在」となり、形だけの夫婦関係を惰性で維持することになります。
一方、年を重ねるごとに親密さを増す「おしどり夫婦」が存在するのも事実です。
本サイトの記事では、夫婦円満のコミュニケーションに効く2つ目の処方箋をお伝えしたいと思います。
2つ目の処方箋とは、 ノンバーバル・コミュニケーションを大事にするということです。
一言で言うと、「 伴侶が話しかけているときは、手を止めて話に集中しろ」ということです。
この処方箋を意識することによって、どんな夫婦でも変わらぬ愛情をお互いに持ち続けることができるでしょう。
処方箋その②. ノンバーバル・コミュニケーションを大事にする
ノンバーバル・コミュニケーション(non-verbal communication)とは、日本語で「非言語コミュニケーション」と言います。
私たちは身ぶりや手ぶり、聴く姿勢といった言葉以外の情報も含めてコミュニケーションを行っています。
こうしたノンバーバル・コミュニケーションを特に意識して夫婦間の対話を行うことが大切です。
中でも「聴く姿勢」が重要になります。
テレビを視ながら妻の話を聞くという夫は、案外多いことでしょう。
これは厳に慎まなければなりません。
妻が話しかけてきたなら、まず体の向きを妻に向けることです。
男性は特に、複数の物事を同時に処理するのが苦手です。
「聴く」ときは、その一点に集中することが欠かせません。
そしてしっかり「アイコンタクト」を行います。
「アイコンタクト」とは視線を合わせることです。
目を含めた相手の表情を確認しながらコミュニケーションを行う必要があります。
相手をじっと見つめ続ける必要はありませんが、「目を見て話す」ことが大切です。
あいづちも適度に打ちましょう。
相手が楽しそうに話をしていたら自分も楽しそうに、相手が悲しそうな話をしていたら自分も悲しそうに聴く必要があります。
相手が楽しそうな話をしているのに、残念なそうな顔をして聞いていたら、相手の幸せを喜んでいないことになります。
逆に相手が悲しい話を打ち明けているのに、ニコニコして聞いていたら、人間性を疑われることになるでしょう。
感情の波長が合わないと、意思の伝達がスムーズにいきません。
基本的に妻も、夫から話をもちかけられたら、手を止めて夫に向き合う必要があります。
女性の場合、複数の物事を同時に処理することができるので、家事をしながら話を聞くこともできるようです。
それでも体を相手に向けて「聴く」態勢をとる必要があります。
手を止めて夫とアイコンタクトを行いながら会話をすると、実りのあるコミュニケーションを図ることができるはずです。
メラビアンの法則によると、発せられた言葉に対して、相手の感情や態度が矛盾している場合、言葉を受け取った人は、言葉よりも相手の話し方や目線、表情、態度などの情報をより重視するそうです。
メラビアンの法則では、矛盾したメッセージが発せられた場合、
「言語情報」が伝わる割合は7%
話し方や話すスピードなどの「聴覚情報」が伝わる割合は38%
目線や表情、態度などの「視覚情報」が伝わる割合は55%になるとしています。
言葉(バーバル・コミュニケーション)よりも、 目線や表情、態度といったノンバーバル・コミュニケーションの方が伝わりやすいということです。
ウィキペディアを参照
「君を本気で愛しているよ」と夫が言ったとしても、テレビを視ながら棒読み口調で言ったのなら、どうでしょう。
「本気で愛しているよ」との言葉を真に受けることができるでしょうか。
妻は「本気で愛している」という言語情報よりも、そうささやいた夫の口調や態度の方を重視します。
言葉だけの愛の告白なら、妻は「本気で愛されていない」と感じるでしょう。
夫に向かって「あなたが一番大事」と妻が言ったとします。
妻がLINEのチャット画面に気を取られながら「告白」したのだとしたら、どんな気分になりますか。
夫は「あなたが一番大事」という言語情報より、妻の口調や態度の方を重視します。
チャット画面から目を離さない妻に対して、夫は「しょせん口先だけの愛情か」とため息をつくことでしょう。
言語情報と態度・口調が矛盾したメッセージを発している場合、私たちは 態度・口調の方を重視するというのがメラビアンの法則です。
夫婦がお互いの存在価値を認め、円滑なコミュニケーションを図ろうと思うなら、言葉と態度を一致させる必要があります。
もしも伴侶から、目を見詰められながら「愛しているよ」と告げられるなら、「これは本気だ」と感じるでしょう。
コミュニケーションにまつわる私の経験談
当時、30代後半の女性事務員と二人だけで仕事をしていたとき、同い年の彼女は私とまったく目を合わせませんでした。アイコンタクトがゼロなのです。
彼女には、自閉的な傾向がありました。
私に辞めさせる権限はありませんでしたので、やむなく一緒に働いていましたが、正直苦痛です。
アイコンタクトの重要性を伝えましたが、「できません」の一点張り。
逆に「顔を見られるのはイヤ」と言います。
別に顔をジロジロ見るとか、表情を覗き込むようにして見るわけではありません。
対面で話したくないというのです。
仕方なく譲歩したものの、視線も合わせずに会話をすることが、どれだけ味気ないかを痛感しました。
彼女と一緒に働いた数年間、私は彼女の発言時に手を止めて、体も彼女に向けて話を全身で聞くようにしました。
報われることはありませんでしたが、「 意識的に聴く習性」が身に付いたことは一生の財産になると考えます。
一方、別の20代後半の女性事務員と一緒に仕事をしたときは、日々、幸福感にあふれていました。
私が話しかけると、事務作業をしている最中でも手を止めて、私に向き合ってくれます。
私の言葉にうなずきながら、しっかりアイコンタクトをとってくれます。
男性ならば、どれだけ自尊心が満たされるかお分かりでしょう。
彼女からリスペクトされているという実感を深く味わいました。
夫婦関係も同様です。
伴侶をリスペクトするなら、姿勢も向き合うコミュニケーションが欠かせません。
処方箋その②.まとめ
ノンバーバル・コミュニケーションは、私たちが話す言葉を補強します。
「本気で愛している」「あなたが一番大事」と伝えても、表情や姿勢が矛盾しているなら、真意は伝わりません。
言葉を受け取った側は、相手に不誠実さを感じ取るはずです。
夫婦がお互いの存在価値を認め、いとおしく思っているのなら、態度で表す必要があります。
夫婦円満のコミュニケーションを図るべく、まずは手を止めて相手の方に向き合いましょう。
もちろん、しっかりアイコンタクトをとって会話を始めたいものです。
そうすれば、かつてのようなラブラブで親密な夫婦関係が復活するはずです。
処方箋その1の記事でも挙げましたが、『和田裕美の人に好かれる話し方』(大和書房)から和田さんの言葉を紹介します。
何度噛みしめてもよい言葉です。
人間関係は話さないと知り合えないのです。
わかり合えないのです。
夫婦になっても、恋をしていたければ空気の存在っていうものを誤解しないようにしなくてはいけないと思います。
夫婦における会話が少なくなってくると、空気のような存在とかなんとか言って、その状態を居心地のよい状態と勘違いしてしまうのかもしれません。
だけど私は思うのです。
何年連れ添っても、だんなさんから話しかけてもらって、たまには「おいしいね」とか「きれいだね」とか言ってもらっている奥さんは、やっぱり幸せだと思います。
奥さんから、「今日のあなたってかっこいいわね」って、孫がいるような年齢になっても言ってもらえると、やっぱり嬉しいのだと思います。
言葉は使うべきです。
人は人と話すべきです。
好きな人や大切な人をもっと大事にするために、人は人と上手に話すべきです。