【鴨頭嘉人の教え】良い上司は部下をリスペクトする

良い上司は部下をリスペクトする

「良い上司」と一言で言っても、ピンとこないかもしれません。

 

でも、逆の意味の「悪い上司」を想像すれば、すぐに思い浮かぶのではないでしょうか。

 

あなたの職場にもいませんか、「悪い上司」が。

 

さて、ご多分に漏れず、私の以前の職場のセンター長も「悪い上司」の一人でした。

 

陰で部下の陰口を言っていたからです。

 

部下の悪口を言うようになったら、上司という職責を辞めた方が賢明です。

 

部下を信頼できなくなったら、はっきり言って上司は務まりません。

 

部下をリスペクトできない時点で、上司失格です。

 

大切なことは、部下を見下すことではありません。

 

部下をリスペクトし、その能力が十分に引き出されることを信じることです。

 

以前、ツイートを流しました。

部下を猜疑心の目で見る管理職に必要なことは部下を信じること。「失敗する部下を信頼できるわけない」と言うかもしれないが、大事なのは部下の現在ではなく、未来の成長した姿を信じること。「信じられるかどうかではなく信じると決めてしまう」。

今でもこの通りだと考えています。

 

鴨頭嘉人氏の教え

 

YouTube講演家として活躍する鴨頭嘉人氏は、もともと日本マクドナルドの社員として働いていました。

 

赴任した先々の店舗で日本一の店長となるなど、人心掌握術に長けている管理職と言えます。

 

鴨頭氏がマクドナルドの店長になって最初に配属された店舗は、仙台一番町店だそうです。

 

鴨頭氏はようやくなれた店長職ですから、張り切って理想の店をつくり上げるために奮闘します。

 

長時間労働と休日出勤は当たり前でした。

 

一方で、スタッフのことは全く信用しなかったと言います。

 

自己流の手順で作業するスタッフがいたら、マニュアル通りに進めるよう指摘しまくります。

 

不正をするスタッフがいたら、即刻解雇するなど強権を発動しました。

 

そのうち、スタッフが店長の言うことを無視するようになります。

 

鴨頭氏も人ですから、スタッフから無視されてつらくなります。

 

職場に行くのが怖くなり、だれとも口を利かずに黙って作業をこなすようになったそうです。

 

うつの初期症状だったのでしょう。

 

燃え尽きたのかもしれません。

 

見かねたスーパーバイザーが、鴨頭氏を青森県弘前市のお店に飛ばしたそうです。

 

飛ばされた鴨頭氏は、180度指導のスタイルを変えます。

 

それが「信じられるかどうかではなく信じると決めてしまう」です。

 

スタッフを信頼することを一番にしました。

 

条件を付けるのではなく、初めから「信じると決めてしまう」のです。

 

その結果、店はどんどん良くなっていき、売上の伸び率や従業員満足度などで日本一の店づくりに成功しました。

 

大事なのは、スタッフを「信じると決めてしまう」ことです。

 

疑ってかかることではありません。

 

松下幸之助の場合

パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者の松下幸之助(1894-1989)は、学歴が小学校中退です。

 

9歳で丁稚奉公に出されています。

 

そんな松下幸之助が、のちに松下電器産業という大企業を興しました。

 

松下幸之助は、成功した理由を3つ挙げます。

 

①体が丈夫でなかったこと

 

②学歴がなかったこと

 

③家が貧乏だったこと

 

ないない尽くしからの成功

幸之助は22歳のときに、それまで勤めていた電灯会社を辞めて事業家としての人生を歩み始めましたが、そのときの状態は、財産もない、学歴もない、健康にも恵まれない、両親も兄弟姉妹の大半も亡くなっているということで、文字どおり「ないない尽くし」からの出発でした。

 

ところが幸之助は、こうした状況を、そのままマイナスの要因にはしませんでした。幸之助自身、次のように述べています。

 

  1. 生来からだが弱かったがために、人に頼んで仕事をしてもらうことを覚えた。
  2. 学歴がなかったので、常に人の教えを請うことができた。
  3. 財産がなかったので丁稚奉公に出されたが、そのおかげで幼いうちから商人としての躾を受け、世の辛酸を多少なりとも味わうことができた。
  4. お金がないから一歩一歩着実に計画を立て、資金のダム、信用のダム、設備のダムといった小さなダムを社内にいくつもつくり、銀行が与えてくれる信用の範囲内で融資を受けて、事業をやってきた。そのおかげで不況でも好況でも一貫して自己のペースで活動することができた。

「何もなかったから、かえって成功した」というわけです。「ないない尽くしからの成功」と言われるのは、このようなことからでした。

 

   引用:松下幸之助.com 「松下幸之助を知る Q&A」より

 

特に注目したいのが、学歴がなかった点です。

 

松下幸之助が創業した会社には、小学校中退の松下幸之助より学歴が上の人ばかりが入ってきます。

 

だから松下幸之助は、どんな部下であってもリスペクトして素直に教えを請いました。

 

部下に対してさえ、リスペクトするのです。

 

「俺が会社で一番偉いんだ」と言って、社長室でふんぞり返っているワンマン社長とはわけが違います。

 

社長から認められたら、あるいはリスペクトされたら、部下は喜ぶでしょう。

 

間違いなく、社長のために粉骨砕身働こうという気になるはずです。

 

松下幸之助は、良き上司の最も代表的なモデルです。

 

まとめ

 

以前の職場にいたセンター長は、上司でありながら部下を陰で見下していました。

 

嘲笑的ですらありました。

 

「あいつらバカどもは、信用できない」などと部下を見下して笑っているのです。

 

本人から直接陰口を聞いたときは、私自身が凍り付くような気がしました。

 

聞けば、両親は離婚し、父親はすでに他界。

 

母親とは、肉親の縁を切ったというではありませんか。

 

「とんでもない母親だった」と言いますが、自分を生んでくれた母親を呪って縁を切るくらいですから、どこか人を見る目にゆがみが生じているに違いありません。

 

管理職に抜擢されたという意味では、仕事はできるのでしょう。

 

けれども、上司としては失格です。

 

部下に対して1ミリのリスペクトも持っていなかったからです。

 

だからか、私の同僚から聞こえてくるのは、センター長に対する怨嗟の声。

 

職場の雰囲気も、寒々しいものでした。

 

そして、どこか息苦しく感じられました。

 

 

鴨頭嘉人氏は、マクドナルドにおける店長の存在は非常に大きいと話しています。

 

店を良くするのも悪くするのも店長次第だからです。

 

人の上に立つ長は、周りにいる部下をリスペクトできる人でなければなりません。

 

部下を信用できる人であるべきです。

 

例のセンター長は「あいつらを信用できないんだよね」とまるで部下に非があるような言い方をしていました。

 

でも、私は鴨頭嘉人氏の言葉を思い起こします。

 

「信じられるかどうかではなく信じると決めてしまう」

 

上司こそが、まず部下を信じるべきなのです。

 

 

【追記】2019年6月12日

アメリカで2001年から2005年までブッシュ政権のもと、国務長官を務めた軍人コリン・パウエル氏は、著書『リーダーを目指す人の心得』(飛鳥新社)の中で、「部下に尊敬されようとするな、まず部下を尊敬せよ」と記しています。

 

部下の尊敬は、獲得する以外に方法がない。

 

部下からリーダーに与えられるものであって、尊敬しろと命じて得られるものではないからだ。

 

リーダーは、部下をよく知り、尊敬すること、また、先頭に立ち、自分の能力を示すことによって部下から尊敬を勝ち取る。

 

ただし、一定の距離を保ち、近づきすぎてはならない。部下が求めるのは無私なリーダーであって、利己的なリーダーではない。

 

またリーダーたるもの無私でなければならず、利己的であってはならない。

 

倫理面においても行動面においても勇気を持ち、常に正しいことをおこない、正しいことをおこなうためなら首をもかける気概をもたなければならない。

 

厳しいが公正であり、職権を乱用しない。

 

みずから手本を示すのはもちろん、自分たちも手本になろうと部下たちに思わせる。

 

部下は、そういうリーダーを求めるのだ。

 

 

部下を尊敬しようと思えば、まず、彼らを知らなければならない。

 

少尉として任官したとき、私は指揮下にいる何十人かの兵士について学べるかぎりのことを学べと教えられた。

 

そのため、小さなノートを用意し、兵士一人ひとりについて、その名前、誕生日、認識番号、小銃の製造番号、家族、出身地、教育、専門、任官日などをメモすることにした。

 

実績、素行、身なり、意欲、強み、弱みなどについても、最初にどう感じたか、また、それがどう変わっていったかをメモした。

 

 

リーダーは部下を知らなければならないし、優れた能力を発揮できなければならない。

 

だが同時にリーダーもひとりの人間であり、部下に立ち入らせないプライバシーゾーンも持たなければならない。

 

「親しき仲にも礼儀あり」だ。

 

親しくなりすぎると全員が横並びになってしまうと表現したほうがいいかもしれない。

 

リーダーは兵とともにいるが、その立ち位置は彼らの上。

 

リーダーというのは、どこか不思議なオーラをまとっている必要があるのだ。

 

リーダーは部下に好かれたいと思うし、部下は自分たちが好きなリーダーであって欲しいと願うが、好きだという感情は必ずしも必要ない。

 

そのほうがなにごともスムーズに進むが、尊敬する意識が欠けていれば組織運営は混乱する

 

好きだという思いは尊敬から生まれるべきもので、リーダーが部下におもねったり部下の友だちのようになろうとするのはまちがっている。

 

部下は、甘い上司がいいと思っているわけではないのだ。

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