「営業」と名の付く関連本は、アマゾンで検索しただけで1万冊以上出てきます。
それだけ営業という仕事に悩みを抱え、解決したいと願う人が多いことの現れでしょう。
しかしできれば手っ取り早く営業の本質を学び、即効性のある手法で営業成績を上げたいと願うのが人情です。営業の本を1万冊も読んでいるヒマはありません。
本サイトの記事では、加賀田セールス学校の学長である加賀田晃氏が「ほんとうは教えたくない」と言う秘伝のコミュニケーション術についてお伝えします。
【メリットとは何か・・・?】 こんにちは。 加賀田セールス学校の岡田ゆきです。 いつもFacebookをご覧いただきまして誠にありがとうございます。 突然ですが、皆様はなぜこのFacebookを御覧頂いているのでしょうか・・・?…
加賀田セールス学校さんの投稿 2017年11月13日(月)
お客に「喜び」と「恐怖」を訴えるという方法です。商品説明よりも、はるかに大事なプロセスになります。
私たちは「喜び」と「恐怖」を訴えることによって、お客の心を揺り動かすことができます。
1.お客に「喜び」と「恐怖」を気付かせる
「喜び」と「恐怖」は「メリット」と「デメリット」、「快楽」と「痛み」などと言い換えることができます。
加賀田氏は、私たちが買い物であれ、仕事であれ、遊びであれ、何らかの行動を起こすのは、「喜び」(メリット・快楽)を得て、「恐怖」(デメリット・痛み)を避けるためであると言っています。
ですから私たちがもし営業でお客に商品を薦めるとしたら、聞かれてもいない商品説明をする前に、商品から得られる「喜び」(メリット・快楽)と、商品を持たないことの「恐怖」(デメリット・痛み)を十分に訴える必要があります。
特に人は「喜び」(メリット・快楽)を得るモチベーションよりも、「恐怖」(デメリット・痛み)から逃れるモチベーションの方が10倍強いと言われます。
順序としては、買わないことでもたらされる「恐怖」(デメリット・痛み)を十分に実感させる必要があります。
その上で、買うことで得られる「喜び」(メリット・快楽)を気付かせるのです。
そうすれば、お客を購入に向けて動かすことができます。
日本にベストセラー『7つの習慣』を紹介したジェームス・スキナーは、ご存知の方も多いでしょうが、成功コーチとして知られています。
ジェームスも加賀田氏と同じように、著書『成功の9ステップ』(幻冬舎)の中で「人間はつねに『快楽』を得ようとし、『痛み』を避けようとしている」「人間は、意識している、していないにかかわらず、快感が得られ、苦痛が避けられると思う行動をとる」と指摘しています。
これは営業にも当てはまることです。
お客は、私たちの売る商品によって「快楽」が得られ、「痛み」を避けられると思うから、迷うことなく購入の決断をします。
営業では、ありきたりの商品説明は要りません。まず、お客に「快楽」と「痛み」を十分に感じてもらう必要があります。
2.広告営業の体験談
私がいた業界紙の新聞社では、業者からの広告を頻繁に載せていました。
「〇×特集」と銘打っては、業者の協賛広告をずらりと並べるのです。
この広告営業が正直イヤでたまりませんでした。
広告を載せたからといって業者の業績がアップする保証はどこにもありません。
決まり文句は「お客様とわたくしどもの毎年のお付き合いですからお願いします」です。
「付き合い」で広告を載せてもらっていました。
あるとき得意先の社長が「また、広告のお願いに来たのか」と少しうんざりしたような表情で言います。
それでも、申し訳なさそうに委縮する私に向かって「でもまあ、ほかの大手の業者も広告を載せるのだから、うちが載せないわけにはいかないな」と言うのです。
「勝手に」と言っては失礼ですが、その社長は広告を載せないことの「恐怖」(デメリット・痛み)を「自発的に(勝手に)」感じていたのです。
それは「ほかの大手の業者が広告を載せるのに、同じ大手のウチが載せないと恥をかく。ケチ臭いと思われる」といった、体面を重んじるがゆえの「恐怖」と言えます。
それ以来、私は広告営業でほかの業者名を挙げながら、「ここの業者もあそこの業者もみんな広告を載せますが、御社はどうされますか。もし御社の広告だけ載っていなかったら、ほかの業者が『どうしたのだろう?』と思うのではないでしょうかね」などと「恐怖」に気付いてもらえるよう試みた次第です。
メンツを重んじる業者には効果的でした。
3.ドライブレーコーダーの販売台数が増えた背景
ネットに「2017年のドライブレコーダー販売台数は前年比38%増の109万台」との記事がありましたが、同年6月に東名高速道路上で起きた死亡事故が大きな影響を与えています。
25歳の男が、高速道路の追い越し車線に自分の車を止め、夫婦と子ども2人が乗ったワゴン車の進行を妨げたため、後ろから来たトラックがワゴン車に追突。路上にいた夫婦を跳ね、夫婦が亡くなったという痛ましい事故です。
危険なあおり運転をする25歳の男の車が、ほかの車のドライブレコーダーに映っていたことが、真相究明に役立ちました。
こうした報道を見て「やはりドライブレコーダーは、ないよりもあった方がいい」と感じた人は多かったはずです。
多くの人が、ドライブレコーダーがないことの「恐怖」(デメリット・痛み)を感じました。
さて、ドライブレコーダーがないことの「恐怖」とは何でしょうか。
万一、交通事故を起こしたとき、客観的な証拠がないため、事故の相手方とトラブルになる可能性がある。
悪質なドライバーや当たり屋などによる運転妨害を記録できない―といったことが考えられます。
一方、「喜び」(メリット・快楽)とは何でしょうか。
交通事故の瞬間を撮影しているので、警察や保険会社に映像を資料として提供することができる。
当て逃げや悪質なドライバーの運転妨害を記録することができる―といったことが考えられます。
ドライブレコーダーを持っていない人に商品を販売しようとするなら、ドライブレコーダーのこうした「喜び」と「恐怖」を十分に伝えなければなりません。
残念ながら、多くの営業マンは、お客が十分に「喜び」と「恐怖」を味わっていないうちに商品説明を始めます。
「このドライブレコーダーの画質はHD画像の120万画素で、記録媒体はSDカードです」といったスペックを伝えるのですが、こうした製品情報をくどくど説明しても、お客の心には響きません。
4.まとめ
「喜び」と「恐怖」のコミュニケーション術は、営業で役に立ちます。売ろうとする商品を説明する前に、その商品を持っていないことの「恐怖」(デメリット・痛み)を感じてもらう必要があります。
それから、商品を持つことで得られる「喜び」(メリット・快楽)を味わってもらうのです。
「喜び」と「恐怖」を「これでもか」というくらい伝えることができれば、お客は迷うことなく「勝手に」商品の購入を決断します。
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