本サイトでもちょくちょく登場する女性事務員は、これ以上ないくらい私と相性の悪い同僚でした。
彼女とのエピソードは、以下の関連記事でも紹介しています。
コミュニケーションをとろうとしないので、私の方から質問を投げかけるか話題を振るかしていました。
事務員から私に「質問返し」をすることは一切ありません。
私が質問すれば何らかの返事をしてくれますが、それで終わり。
私に対して質問を投げかけてくることがなかったので、コミュニケーションを図るのに骨が折れました。
そんな彼女にある日、私がコミュニケーションをとる上で三本指に入るくらい参考になった1冊の本を差し上げました。
品切れになっていたので「非常に良い」状態の中古本をAmazonで注文し、彼女に渡しました。
しぶしぶ受け取った彼女は「興味がない」と言っていましたが、「参考になるからぜひ」と読むように勧めました。
何だかんだ言って、本は読んでもらえたと思っていました・・・。
それから月日が経ちます。
彼女が辞めてから1年後、事務員の机の引き出しを探るとB5サイズの茶封筒が見付かりました。
開けると、出てきたのは私があげた本でした。
上から三番目の引き出しの一番奥に、封が閉じられたまま隠すように置いてあります。
本を読んでくれたとばっかり思っていたのに、読んでいなかった・・・。
頭にカーと血が上りましたが、すぐに彼女のことを哀れに思いました。
自分を成長させるまたとないチャンスを自らつぶしたからです。
本サイトの記事では、コミュニケーションが苦手な人向けにおすすめの本を紹介いたします。
私が事務員に読ませたくて仕方がなかった本です。
私自身、3回は通読しました。
『和田裕美の人に好かれる話し方』(大和書房)です。
この本を通じてコミュニケーションを円滑にするヒントが見付けられるはずです。
1. 「共感」を大切にする
和田裕美さんの本の中に「おまけ」として「『共感ワード』ソフトをインストールしよう」というタイトルの文章があります。
この文章の中に出てくる会話の事例が、私と事務員の会話にそっくりそのままです。
例えば、私と事務員の会話は以下の通りです。
■コーヒーに関する話題
■シナモンに関する話題
■アニメに関する話題
会話に寒い空気が流れています。コミュニケーションを断ち切っているようにも見えます。
あまりにも素っ気なさすぎます。
こういった場合、和田氏は「共感ワード」をインストールして全部変換するよう勧めます。
上記の例を変換したらこうなります。
■コーヒーに関する話題
届いたら飲んでみない?
思わずポチったということは、ブルーマウンテンって本来は高いコーヒーなんですか? 普通のコーヒーとどう違うんでしょうね。
■シナモンに関する話題
どういうきっかけでシナモンロールを頂くことになったんですか?
■アニメに関する話題
見終わったら貸してあげるね。
見たらぜひ感想を教えて下さい。
物語として面白いだけでなく、きっと勉強になると思うよ。(会話が続く)
「共感」を軸に据えれば、相手がなぜそのような話題を振ってきたのか、その理由に興味が持てるようになります。
そうすれば、自分があまり興味のない話題であっても、その話題を振った相手に興味を持って会話が続けられることでしょう。
私はテレビについて受け身で見ている時間がもったいない、成功者はテレビを見ない、といった理由から部屋に置いていません。
一方の事務員はテレビ中毒でした。
仕事が終わって家に帰ったら、ベッドに入るまでテレビを延々と見続けるということでした。
事務所にいるときの彼女は、浜に打ち上げられて窒息死しかけた魚のようなもの。
テレビを視ることによって、息を吹き返すに違いありません。
会話の少ない息が詰まるような事務所では、ストレスが溜まるのも無理はありません。
本人は「テレビなしではムリ。生きていけない」と言います。
テレビをまったく見ない私と、テレビ漬けの事務員という対照的な二人です。
一緒に働けば、摩擦が生じてもやむを得ません。
あるとき、ドラマをよく見ている彼女に、最近どんなドラマが面白いのか聴いてみました。
フンッ!(会話終了)
本当に意味がないのでしょうか。
私は事務員が、どんなドラマを面白く感じているのかを聴くことは、おおいに意義のあることだと考えます。
人となりを知ることにつながるからです。
和田裕美さんは、車やマリンスポーツにはまったく関心がないことを本の中で明らかにしています。
それでも「目の前の人が何が好きで、何に打ち込んでいるかという話には興味がある」と記しています。
車やマリンスポーツといった話題に関心がなくても、目の前の人に関心を持てば、話が膨らみます。
私たちは話題には興味がなくても、少なくとも話す相手には興味を持てるはずです。
相手がどんなにいい車に乗っていても、よくわからないんです。
マリンスポーツも苦手。
だいたい、小さいころから内にこもるタイプだったので、キャンプなんかも苦手です。
だから興味ないんです。
でもこういうことが大好きな人っているでしょう?
楽しそうに車の話を私にする人もいるのです。
興味がないから聞かないとなると、なんとも相手は寂しいものだろうし、会話もはずまないものですよね。
なぜか人と話していると、私はその間だけは、すごく車に興味が出てきたりするのです。
それは相手に興味があるからです。
目の前の人が何が好きで、何に打ち込んでいるかという話に興味があるのです。
興味のない話でも、目の前の「その人」に興味をもてたら、会話は楽しくなるものです。
質問されたら相手にも聴き返すのがマナー
聞かれたら、聞き返すのは会話の原則です。
人は自分が話したい話題を抱えているとき、あえて相手にその話題について質問することがあるからです。
例えば、あなたが富士急ハイランドの「ド・ドドンパ」に乗ったことがあったとします。
その体験を友人に語りたいとき、例えば以下のように質問しました。
昨年五月の連休にディズニーランドに行ってさ。ちょうど雨が降っていて、最悪だったんだけど・・・(一方的な話が続く)。
せっかくド・ドドンパの話をしようと思ったのに、話がまったく別の話題に流れてしまいました。
こうなると流れを再びド・ドドンパに引き戻すのは難しくなります。
これが聴き返すパターンの会話だったら、どうでしょう。
もしかしてモタさんは、ド・ドドンパに乗ったことがあるの?
ビッグサンダーマウンテンもいいけど、ド・ドドンパもおすすめ。
ところで、何? 去年、ディズニーランドに行ったの?
和田裕美さんは著書で「聞かれたら聞き返すのが会話のマナー」と指摘しています。
この指摘はぜひともあの女性事務員に、読んでおいてもらいたかった箇所でした。
彼女は私に聞き返してくることがほぼゼロだったからです。
結局、私が質問をし、それに対して彼女が答えるというだけの会話でした。
彼女も私に質問をし返してくれたなら、もっと会話が弾んだに違いありません。
誰かと話していて私ががっかりするのは、相手の人が自分にまったく興味がないと感じるときです。
「どちらのご出身なんですか?」と聞いた私に、
「ああ、北海道、札幌です」
で、で、続きがないんです。
「私にも聞いてよ。普通聞かれたら聞き返すでしょ?」と心の中で私は叫びます。
興味をもたれないこと、質問してもらえないことは、人にとって、なんともがっかりさせる要因になるのです。
そうならば、質問できる人になっておけばいいのです。
少なくともがっかりさせることはないはずです。
会話において大切なことは、質問されたら、答えてから同じ質問を相手に返すという基本形です。
自分の話をしてから、相手の話題に自然に移るのです。
お互いが質問スタイルになると、会話に広がりが出ます。
2.まとめ
「共感」を大切にすれば、「コーヒーは嫌いです」「アニメには関心がありません」などと会話をぶった切るような返事にはならないはずです。
話題そのものに興味がなくても、その話題を振ってくれた相手に興味を持つようにしましょう。
相手の考え方なり見方なりに興味を持つのです。
聴かれたら聴き返すことも忘れないようにしたいものです。
相手は実は、「自分が話したいこと」をあなたに質問している可能性があります。
あなたが聴いてあげないと、相手は話すきっかけを見失ってしまうことになります。
ぜひとも会話のマナーとして「聴かれたら聴き返す」を徹底してみてください。
お互いがこうした会話のマナーを守れば、会話に広がりが生じます。
コミュニケーションに対する苦手意識が取り除かれるはずです。