コミュニケーションの原則「話し上手は、質問上手」

ベンツ

「話し上手は、〇〇上手」と伏せ字があった場合、あなたは伏せ字に何を思い浮かべますか。

大抵の人は「聞き上手」と答えることでしょう。

「聞き上手」でも間違いではありません。

でも不十分です。

カウンセラーや臨床心理士、傾聴ボランティアであるなら「聞き上手」で問題ないでしょう。

話し手の話を黙って聴き、相手の心情を理解することがメインだからです。

共感することが最も優先されます。

聴き手が積極的に質問することはあまり想定されていません。

でもあなたがカウンセラーでなく、一般人であるならば「質問上手」を目指したいものです。

「営業の神様」と呼ばれる加賀田セールス学校の加賀田晃氏が「話し上手は、質問上手」と説いているからです。

本サイトの記事では、「話し上手は、質問上手」について掘り下げます。

あなたは聴いているだけなのに「話が面白い人」と評価され、好かれるようになります。

1. 大切なのは相手をハッピーにすること

あなたが未婚で彼氏または彼女がいないなら、会ってすぐにでもよい人間関係を築く方法があります。

それは会話で相手をハッピーな気持ちにしてあげること。

心地良い気分にしてあげることです。

どうしたら相手をハッピーで心地良い気分にしてあげられるのでしょうか。

答えは「相手の良いところを褒(ほ)め、自慢話を聴いてあげること」です。

褒めるだけでは話が広がらないので、合わせて褒めた話題に関連する質問を投げかけます。

そうすると、相手は喜んで話してくれます。

褒めただけだと、相手は「ありがとう」と言って会話が終了します。

褒めたなら、続けて相手に質問をしなければなりません。

もちろん褒めた話題に関連する質問です。

 

ヘアーサロン(理容店)に髪を切りに行ったとき、20代の若い女性スタッフがいました。

長い髪をピンクとグレーに染めています。

ヘアスタイル

真っ先に目についたので「髪の毛が綺麗な色ですね。定期的に手入れとかされているのですか」と質問すると、「ここしばらく染めていないんです」と答えます。

私は「自分で染めているの?」と聴きます。

すると彼女は「美容室に行っています」と答えます。

「このヘアーサロンでも染められますよね?」と尋ねると、横にマスターがいるのに「職場では絶対にイヤです」と声を強めて笑顔を見せます。

こんな感じで会話がポンポンと弾みます。

また、よくよく見ると彼女は耳にたくさんのイアリングを付けています。

ダイヤモンドのような飾りが輝いています。

気付いた私は目を見開きながら「きれいなイアリングですね」と言います。

そして「ピアスの穴は自分で開けているの?」と聴きました。

彼女は「自分で開けるときもあるし、友達に開けてもらうときもあります」と答えます。

質問を重ねると、まだ3~4個のイアリングを付けたいというではありませんか。

私は「親からせっかくもらった体に傷を付けることにならない?」と尋ねます。

彼女は「私の母親もカワイイねと言ってくれます。それにこの体は、私の体です」と少しムキになって反論してきました。

私は「カワイイというのは認めるけどね」とか言いながら、会話を続けます。

上記のやりとりはお手本とは言えませんが、あくまで一例です。

褒めてから、褒めた話題に関して質問を投げかけると、相手は快く話してくれます。

 

加賀田晃氏の教え

何度か紹介している加賀田氏の『加賀田式セールスの全て セールス六法《書き起こしマニュアル》』に「話し上手は、聞き上手」の説明箇所がありましたので、引用します。

 

マニュアルの引用

相手がしゃべる。それを聞き役に回って「そうですか。よかったですね。うわ、すごいですね」と上手に相づちを打つのが、聞き上手じゃない。

聞き上手というのは、相手が話したいであろうということを、こちらから上手に質問して話させてあげる。

話させ上手が、聞き上手。

聞き上手が話し上手。

わかってきたかな?

 

自分がしゃべりたいことを上手にカッコよく話せる人が、話し上手じゃない。

自分が話したいことをよどみなくカッコよく話せたら、自分は気持ちがいい。

だけどその話題に興味のない人は、その話につき合わされるのは時には迷惑。

「ええ、そうなんですか?」 

最初は相づち打ってても、途中で嫌になる。

もう解放してくれと、やめてくれと、はた迷惑。

話し上手というのは上手にしゃべることではない。

話し上手というのは、自分が満足するんではなくて、相手をハッピーにしてあげる。

相手を満足させてあげる。

いわゆる話し上手というのはこれです。

(ホワイトボードに “話し上手=質問上手” と書く)

質問上手。

何を質問するか?

一番相手が話したいであろう自慢話、もしくは相手が今、一番興味を持っていること。

それを質問すればいい。

よくぞ聞いてくれたとばっかりに相手はとうとうとしゃべります。

このしゃべっている瞬間が一番ハッピー。

質問された瞬間に、相手は舞い上がります。

これ以上の快感はない。

ちゃいますか?

ホメなくていい。

聞くんです。

ホメることの効果はありますよ。

質問することは、その100倍効果があります。

加賀田氏は「ホメなくていい」と説いていますが、話の取っかかりとして相手を褒めることは何ら問題がありません。

褒めてから、褒めた話題に関する質問を投げかければ、相手は喜んで話してくれます。

舞い上がった相手は、あなたのことを好意的に見てくれるようになります。

不思議なことに、相手が8割近く話していたとしても、質問するあなたのことを「話が面白い人」と評価してくれます。

思う存分しゃべらせてもらうと人は満足します。

自分がしゃべって気分が良くなったので、話を引き出してくれたあなたを「話が面白い人」と評価するのです。

褒めるチャンスを見逃さないように

役所の駐車場に黒塗りの真新しいメルセデスベンツSクラスセダンが停まっていました。メルセデスベンツ田舎だと目にかかる機会はほとんどないので、「おお!すげえ」と見とれていたところ、ちょうど役所の玄関から顔見知りの社長が出てくるではありませんか。

ベンツ乗りの社長です。

こんなとき、あなただったらどうしますか。

まさかベンツにふれずに、挨拶だけ交わして去ることはしないでしょう。

私は「社長、立派なベンツですね。新しく買い替えたのですか?」と聴きました。

社長は「うん。ディーラーが買い替えろとうるさくてさ。前に乗ってたベンツも20年乗ったから、そろそろ替え時かなと思って」と語ります。

私は「以前の白いベンツは20年も乗り続けていたんですか!」と驚きます。

社長が物を大事にする人だということが分かりました。

「それにしてもこの塗装のツヤ、見事ですね」などとベンツを褒めながら、最も相手を舞い上がらせる切り札の質問をいつ切り出そうかと迷っていました。

 

切り札の質問とは「社長、タイッヘン失礼ですが、このベンツ、おいくらくらいなさったのですか」とズバリ価格を問うものです。

高額な商品であればあるほど、値段を言う方は快感を覚えます。

ですから高い商品を褒めるとき、締めくくりは価格を問う質問です。

日本人は高い商品を買ったとき、値段のことをあまり口にしたがりません。

奥ゆかしさを重んじるからです。

でも、だからこそ質問者が価格をズバリ聴いてあげる必要があります。

ただし前置きとして「タイッヘン失礼でございますが」といった枕詞は欠かせません。

抑揚のない「大変失礼でございますが」ではなく、強調して「タイッヘン失礼でございますが」と言うのです。

相手も、納得して答えてくれます。

 

閑話休題…。

 

「それじゃあ、オレは行くから」と笑顔の社長が片手を上げて運転席に乗り込むと、車はエンジン音を響かせて行ってしまいました。

価格を聞けずじまいだったのは私の失点です。

ただ、その社長はそれからも、瓶詰された冷凍の粒ウニをくれたりと私に目をかけてくれました。

悪く思われていなかったことだけは確かです。

2.「話し上手=質問上手」のまとめ

話し上手とは、話したいことを立て板に水のごとく話せる人ではありません。

話し上手とは、相手に話をさせて満足させてあげられる人を指します。

相手から上手に話を引き出せる人を指します。

上手にうなずいたり相づちを打ったりするだけでは不十分です。

会話の取っかかりとしては、まず目に入る相手の長所や魅力を褒めてみます。

それから長所や魅力に関して質問を投げかけてみるのです。

そうすれば会話が広がります。

相手があなたのことを好意的に見てくれるのに、そう時間はかからないでしょう。

 

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