コミュニケーションとは「分かち合い」

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コミュニケーションを通して、私たちは価値や体験を共有し合います。

コミュニケーションとは本質的に「分かち合い」と言えるでしょう。

オックスフォード英語辞典によると「コミュニケーション」(communication)の語源は、ラテン語の「コムニカチオ」 (communicatio)だそうです。

意味は「to share」、すなわち「分かち合うこと、共有すること」です。分かち合い

参考サイト

①ShareWis PRESS(シェアウィズ プレス)「コミュニケーションの語源、コムニカチオとは」より

「そもそもコミュニケーション(Communication)という語は、ラテン語のコムニカチオ(communicatio)に由来し、『分かち合うこと』を意味するものである」ウィキペディアより)

 

『一目でわかる傾聴ボランティア』(鈴木絹英編)には「聴くことで自分も成長する」とあります。傾聴のメリットを説いています。

以下、本文を引用します。

本文の引用

傾聴には、人の話を聴くことにより、自分自身を成長させるというメリットがあります。

いろいろな人の話を否定せずにまるごと受けとめて聴くことで、それまでの自分には考えもつかなかったものの見方を学ぶこともできます。

その結果、心の幅や、許容範囲がぐんと広がります。

また、様々な人の話を聴くことによって、自分がこれまで知らなかった事柄をたくさん知ることもできます。

(中略)人生経験豊かな人の話を聴くことほど、勉強になることはありません。 

『一目でわかる傾聴ボランティア』より

傾聴を含めたコミュニケーションによって私たちは他人様の経験を共有し、自分の世界が広がるのを実感します。

価値や経験を分かち合うことによって、人生が豊かになるのです。

本サイトの記事を読めば、コミュニケーションとは分かち合い、その結果、互いに豊かになることだと分かるでしょう。

1.情報をシェアすること

セミナーに参加すると、講師が区切りのついたところで「では、周りの皆さんと学んだことをシェアしてください」と言うことがあります。セミナー

インプットした情報をアウトプットさせ、理解度を深めるためです。

話す方、聴く方の両者にとって気付きがあるので有益です。

私たちはコミュニケーションを通じて、様々な情報をシェアしているとも言えます。

シェアすること、すなわち分かち合うことによって私たちは、互いに経験や知識の面で豊かになれます。

本田晃一氏のエピソード

本田晃一著『日本一の大投資家から教わった人生でもっとも大切なこと』(フォレスト出版)に「運気を上げる」方法が載っています。本田晃一氏は、2001年に経営コンサルタントの神田昌典氏に誘われてセミナー講師を引き受けたそうです。

そのきっかけがつぎのように紹介されています。

本田氏は売れるホームページを作るため、神田昌典著『あなたの会社が90日で儲かる!』を買って実践し、見事、集客に成功。

神田氏に感謝を伝えたところ、一緒にセミナーをしないかと誘われました。

ところが本田氏はためらいます。

同業他社にノウハウを知られたくなかったからで、「ブルーオーシャンがレッドオーシャンになったら嫌なのだ」と振り返っています。

最終的に本田氏は、売上に困っている経営者に「儲かる喜び」を味わってもらいたいと、セミナー講師を引き受けます。

「すると、そこから一気に運がよくなった」と記しています。

以下、本文を引用します。

本文の引用

セミナーで話をするのはむちゃくちゃ楽しくて、人に教える素晴らしさを経験できた。

そして、もっと話を聞きたい、相談したいという人が増えてきた。

最初はお金をもらわずに相談に乗った。

お金を払ってでも教えたいというほど楽しかったのだ。

そうしているうち、お金を払ってくれる人が現れた。

請求していないのに、「お礼に」と入金してくる人が増えた。

ある人からお礼が振り込まれ、通帳を見ると1200万円の入金があった。

お金だけではなく、よい友人もたくさん増えた。

なんでも協力してくれる友人だ。

こちらがよい情報を流すとよい情報をもった人が現れた。

よい師匠にも次々出会えた。

僕は、メールマガジンやブログでどんどん情報を出していった。(中略)

周辺の人に、自分のもっている豊かさや知恵や知識などをどんどん渡すと、どんどん運がよくなることに気がついた。(中略)

気がつくと、分かち合いや与えることの延長線上に、もっと大きな幸せがあったのだ。

『日本一の大投資家から教わった人生でもっとも大切なこと』より

本田氏は当初、自分の手の内を明かすとライバルを増やすことになるのでないかと心配しました。

大事な企業ノウハウだから当然です。

でも苦しむ経営者のために、もてる知識や知恵を惜しみなく伝えようと決心します。

やってみたら想像以上に講師稼業が楽しかったようです。

天職だったのでしょう。

本田氏は豊かさや知恵、知識を気前よく出して運気が上がったと言います。

「分かち合いや与えることの延長線上に、もっと大きな幸せがあった」。

深く味わいたい言葉です。

私たちも「分かち合いや与えること」を目的として、コミュニケーションを図りたいものです。

 

「おまけ」情報を伝える

平木典子著『人間関係が驚くほどうまくいく 言いたいことがきちんと伝わるレッスン』(大和出版)には「『おまけ』情報を付け加えるメリット」という章があります。平木氏は、コミュニケーションをとっているときに、サービス精神を発揮して情報を付け加えることを勧めています。

以下、本文を引用します。

本文の引用

相手に質問されないことでも、旅行中にケガしたとか、人との出会いが楽しかったとか、心に残るすばらしい景色があったとか、さまざまなエピソードを付け加えて話せば、相手は「おまけをいっぱいもらえた」気分になれることでしょう。

話し上手の人は、自分をオープンにして、プライベートなことを相手に話すこともためらわないので、相手が興味をもちそうな「おまけ」や「ただ」の情報を付け加えて話すことが自然にできるのです。

言わば相手に対するサービス精神が発達しています。

また、単にストレートに質問に答えるだけでなく、それに関連した出来事や自分の気持ちを付け加えて、相手と共有できる範囲を広げようとします。

そして、「私はそのときこう思ったけれども、あなたならどう?」などと相手に質問を向けて、「私は自分のことも知ってほしいけれど、あなたのことももっと知りたいの」という相手に対する関心もさりげなく伝えます。

『人間関係が驚くほどうまくいく 言いたいことがきちんと伝わるレッスン』より

相手が興味を持ちそうな情報を付け加えてあげることは、「分かち合うこと、共有すること」の表れとも言えます。

相手にとって価値があると思ったら出し惜しみするのではなく、積極的に「おまけ」情報を伝えるようにしたいものです。

それが相手のためだけでなく、自分にもメリットとして跳ね返ってきます。

「人間関係が驚くほどうまくいく」秘訣にもなるでしょう。

 

聖書には「受けるよりは与える方が幸いである」(使徒言行録)との言葉が記されています。聖書人と価値を分かち合おうとする精神は、「与えることを喜ぶ精神」とも言えます。

「与える方が幸い」という言葉の正しさは、本田晃一氏が証明しています。

 

与えるのは情報だけでなく、時間の場合もあります。時計

傾聴ボランティアをする人は、だれかの話を聴くために自分の時間を割いています。

自分の時間を提供しているとも言えるでしょう。

一方でテレビばかり見ていて妻の話を聴こうとしない夫は、妻のために時間を提供していません。

これでは夫婦のコミュニケーションが悪くなるのも当然です。

コミュニケーションには、時間を「分かち合うこと、共有すること」が欠かせません。夫婦妻を深く愛する夫なら、テレビを見る時間よりも会話する時間の方を優先するはずです。

廃テレビの画像

「分け合う行為は好きじゃない」と言った事務員

記者時代、建設会社が6月に開く安全大会を取材したところ、お土産に地元産米5kgをいただきました。

補足説明

※安全大会とは、無事故無災害を達成するため社員全員の安全意識を高めるイベントです。

農地整備事業に携わる建設会社だったので、農家の米の消費拡大に貢献したいとのことでした。米袋

これはうれしいお土産です。

さっそく事務所に持って帰りました。

ただ、事務所には実家暮らしの女性事務員がいます。

私は単身です。

米を彼女に譲ることにしました。

彼女は「要りません」と言います。

きっと重たいからだろうと思い、彼女が退社してすぐに米を持って追いかけていったら、鬼のような形相で「要りません」と手を振ります。

迷惑でならないといった様子です。

あまりの剣幕に圧倒された私は、意地になりました。

結局、彼女の実家まであと数十歩というところで、米を彼女に押し付けて事務所に戻った次第です。

翌朝、出社してきた事務員は社交辞令的に「お米、ありがとうございました」と礼を言いました。

実家のご両親は迷惑だと思わずに、喜んだはずです。

私はまさか強い拒絶反応を受けるとは思っていなかったので、彼女のお礼が白々しく聞こえてなりませんでした。

彼女はボソッとつぶやきます。

「分け合う行為は好きじゃないんです」。

一瞬、耳を疑いました。

私は「分かち合い」は当然、素晴らしい行為だと思っています。

なぜ彼女が「分け合うのが嫌い」なのか理解できません。

分かる方がいたら教えてください。

結局、彼女が辞めるまでの約3年間、コミュニケーションのとれない状態が続きました。

事務所内

コミュニケーションの語源が「分かち合うこと、共有すること」ならば、彼女は最初からコミュニケーション自体を拒否していたことになります。

2.コミュニケーションとは「分かち合い」のまとめ

聖書の「与える方が幸い」という言葉は、コミュニケーションにも当てはまります。

コミュニケーションとは、相手にとって価値ある「おまけ」情報を進んで伝えることです。

また、自分の時間を提供することです。

私たちはコミュニケーションを通じて、様々な価値や経験をシェアします。

「分かち合いや与えること」によって、本田晃一氏のように運気も上がるでしょう。

分かち合えば、双方にメリットがあります。

受け取った方はもちろん、与える方も幸せになれます。

けれども、分かち合いたくないならコミュニケーションは成立しません。

コミュニケーションとは本質的に「分かち合いだからです。

人間関係のみならず人生そのものを豊かにするのが、「分かち合い」のコミュニケーションなのです。

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モタヨシ
不遇の就職氷河期世代。