コールセンターでの出来事
あるコールセンターでの出来事。オペレーターの声のトーンが上がってきた。20代後半の女性だ。彼女の言葉遣いは丁寧だが、ボルテージを上げつつ同じ説明を繰り返している。
対話を遠隔でモニタリングしてみると、高齢の女性を相手にしている。
高齢だからか、オペレーターの説明を受けても要を得ない様子。
オペレーターの声のトーンが一段と上がる。高齢の女性の方も、イライラしている。
高齢の女性「分かりました。それなら問い合わせるので、お客様専用の総合窓口を案内してくれますか。確か、0120××××163か167(仮)と聞いたのですが」。
オペレーター「0120××××163か167でございますか。私どもの把握している総合窓口の番号と異なるようでございます」
高齢の女性「番号が異なるかどうかは言わなくていいから」
オペレーター「0120××××163か0120××××167でございますよね。私どもの資料では確認できておりません。どちらでその番号を聞かれましたか」
高齢の女性「あなた、私の言っていること分かりますか。まさかAIじゃないですよね」
オペレーター「いえ、違います。では、0120××××163か0120××××167の番号を只今お調べいたしますので、少々お待ちいただけますか」
困っているオペレーターに「すみやかに正しい総合窓口の番号を案内して下さい」と助言すると、「えっ? 0120××××163か0120××××167の問い合わせ先を調べなくていいのですか」とムッとした様子。
そこで「0120××××163か0120××××167がどこの部署の番号かは、今すぐ調べようがないので、正しい番号を案内してあげて下さい」と返答。
不満顔のまま、オペレーターがお客様に正しい電話番号を伝えると、お客様の方も「ハイ、ハイ」と素直に応じていた。一件落着か。
お客様の要望を汲み取れないのはなぜ?
一連のやりとりを聞いて、思ったことは、なぜオペレーターはお客様の真意を把握できないのかということである。
正直、先が思いやられる展開だった。
お客様にとって大事なことは、正しい電話番号を知ること。
0120××××163か167が合っているかどうか、あるいはどこの部署の番号かどうかは、どうでもいい。
早く正しい番号を知りたいのに――。そんなお客様の要望を汲み取れないから、トンチンカンなやりとりになる。
お客様の「まさかAIじゃないですよね(=機械ではない人間のあなたが、どうして私の意図を汲み取ってくれないの?)」という発言は痛烈な皮肉。
私自身も、深刻に受け止めなければならない。
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