北海道胆振東部地震でデマに惑わされないために

札幌市

本記事では、災害時に発生するデマと、デマに惑わされてしまった集団について記します。

私たちは魑魅魍魎(ちみもうりょう)のように湧いてくるデマに対して、どう備えたらよいでしょうか。

正しい対処法は、公式の情報ソースから信頼できる情報を得る。

これに尽きます。

9月6日(木)の未明に発生した北海道胆振東部地震では、最大震度7を記録。

全道全域が停電となる「ブラックアウト」に見舞われ、電気と水に事欠く状態になりました。

テレビが見られなくなり、情報源は主にラジオ。

ラジオを持たない人は、スマホアプリ「 radiko 」で情報収集に努めました。

それでも残念ながら、デマは蔓延しました。

SNS上で「拡散希望」をうたい、混乱をもたらしました。

デマは注意を呼びかける「善意」のメッセージを装っていますが、根拠のないうわさ話にすぎません。

苫小牧市

画像:「現在SNS等で、根拠のない情報が拡散されていますのでご注意ください」と呼びかける苫小牧市のホームページ

具体的には、消防署や自衛隊を騙り「地鳴り・地響きがなっているので数時間後に大きい地震がくる」「地震計が異常数値を示しているので大きな地震がくる」など、不安をあおるような情報ですが、これらは全て根拠のないものですので、冷静な行動をお願いいたします。

              苫小牧市「災害警戒・対応状況」より

デマに踊らされた、ある宗教法人の話

私の住む札幌市東区では、7日(金)19時頃には電気が回復しました。

停電後、39~40時間後に復旧したわけです。

中央区にある知人宅では、7日(金)の朝7時頃に電気が復旧したようです。

病院や官庁の機能が集中しているので、優先的に電気が回復したに違いありません。

電気が回復した翌8日(土)は、一応、平穏な生活に戻り始めたと言えます。

ところが、8日になって「本震が来るから避難所に避難する必要がある」と呼びかけた宗教法人がありました。

わざわざ信者たちに連絡し、避難所に指定されていた小学校に団体で避難したのです。

自宅は普通に電気が使えます。

なのに避難したのは、本震に備えてのことでした。

でも結果的に「本震」は来ませんでした。

12日(水)現在、余震も徐々に少なくなってきています。

デマを鵜呑みする集団心理

怖いのは、一人の信者がデマを信じ込み、良かれと思ってデマを広げることです。

宗教法人の場合、神仏の名のもとに流言飛語さえも正しいものと受け止めがちです。

その信者たちは、電気が復旧したにもかかわらず、わざわざ誘い合って避難所に指定された小学校で一夜を過ごしたようです。

地震は用心するに越したことはありません。

けれども、デマを根拠に集団で避難所に泊まるのは、どこがズレているように感じます。

違和感を覚えたら、ちょっと立ち止まりたい

デマを本物の情報と受け止めた信者が、同質性の高いコミュニティの仲間にデマを伝達。

閉鎖的なコミュニティでは、仲間の情報は命です。

「本震が来るみたいだから、あなたもみんなと避難所に避難しましょう!」と言われ、違和感を覚えた信者はいなかったのでしょうか。

「それ、おかしいよ」と指摘し、立ち止まる信者がいなかったことは残念です。

デマは、いくら「自衛隊から」「警察官から」「NTTから」「市役所の人から」といった一見信頼できそうな「枕詞」が記されていたとしてもデマにすぎません。

顔の知った仲間からメッセージが来ても、デマは軽々しく「拡散」してはなりません。

私の弟の嫁には、LINE仲間から「拡散希望」をうたうデマが流れてきたそうです。

避難所に避難した宗教法人の信者はこう言いました。

「予言の霊を持った仲間が、天上界からのメッセージを受け取りました」。

デマ以上に、手ごわいのは神仏の名において語られるメッセージです。

だれもその真偽を確かめることができないからです。

けれども私たちは「信者」ではありません。

信頼できる情報ソースから正確な情報を得る努力を惜しまないようにしたいものです。

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